布団から出るのが辛い日々が続きます。
「寝る子は育つ」とは誰もが知っている言葉ですが、街もメディアも深夜営業の現代では大人も子どもも、つい遅い時間まで起きていることが多くなりがちです。
最近では「睡眠負債」という言葉も聞かれるようになりました。
栄養素と同じように、不足すると心身に支障をきたすことさえある睡眠。特に子どもには顕著にそれが現れます。
今回は改めて睡眠の大切さについて考えてみたいと思います。
1.5歳前の睡眠不足は“メラトニン”シャワーを浴び損ねる
睡眠の重要性が語られるとき、必ず出てくるのが「メラトニン」というホルモンです。夜になると分泌されるもので、具体的には起きてから14〜16時間後から分泌され始めます。
このメラトニンには、抗酸化作用(酸素の毒性から体を守る作用)や体のリズムを整える働きなどがあり、明るい環境では分泌が抑えられる性質があります。
また、1〜5歳までに大量に分泌されるということがわかっています。この時期に睡眠不足が続くと心身の土台が築かれる「メラトニンシャワー」を浴び損ねてしまいます。
2.セロトニン”不足でキレやすくなる?
体には「体内時計」が備わっており、体温調節や睡眠リズムをつくるなどの役割を担っています。ただし、この体内時計は実は実際の時間とのズレがあり、朝の光を浴びることでリセットすることができます。
しかし、夜寝る時間が遅くなり、その分起床がずれ込むと、この体内時計に徐々に狂いが生じてしまいます。
結果、今度は脳の活動に重要な「セロトニン」という神経物質の分泌が減り、脳の成長や情緒の安定にも影響が出るとも考えられています。
3.同じ時間に同じことをして就寝までの流れを習慣づける
とはいえ、眠くないのに寝るというのはなかなか難しいもの。
寝る時間に布団に入るということを第一の目的にするのではなく、その前から子どもの体と心が“就寝モード”になるように働きかけてあげることが大切です。
ご飯・お風呂・遊ぶ時間などの順番をできるだけ毎日同じにし、習慣にすることで「これをするということはもうすぐ“おやすみなさい”だな」と、子ども自身が気持ちの準備ができるとともに、体も睡眠にむかって整えられていきます。
寝るときは部屋を暗めにして、朝は日の光をたくさん取り込むようにしましょう。
4.親も生活リズムを見直そう
そして、もう1つ大切なのが、「夜は眠る」という当たり前のことを親も守る…つまり、親自身の睡眠も考えるということです。
もちろん、子どもと同じ時間に寝起きをすることは現実的ではありませんが、自分の就寝・起床時間(特に就寝時間)を定めて、1日のリズムを整えるのは大事なことです。
先に述べた「メラトニン」や「セロトニン」の話は子どもに限った効果ではありません。逆に不足することで、大人には疲労や体調不良などが現れてしまいます。
「生活リズムを見直す→睡眠の質が上がる→心身の調子が整う」というサイクルができれば忙しい日常の効率もアップするはず。
そして、なにより、親の“しっかり・すっきり睡眠”を見せることで、子どもにもその大切さを伝えることができます。
睡眠は、脳や体のメンテナンスを行う時間です。親子の睡眠環境を、ぜひ見直してみてください。
<参考文献>
『3歳までの子育ての教科書 必ず知っておきたい19の子育て法』(2012) アスコム
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